政策的対応という観点から言えば、若年層に対する教育・訓練の充実も重要な意味を持っている。とりわけ、現在のように変化が激しい時代には、職をうるための新しい知識や技術の習得は、不可欠となる。日本の教育・訓練システムは、雇用市場の急激な変化を反映して、大きく変化すべき時であると思われる。まず、このあたりの事情について見ておこう。これまで日本の職業訓練システムは、企業に入った後に「現場での仕事を通じた教育・訓練を行う」OJTを中心として行われてきた。
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高度経済成長を通じて、多くの若者が高校・大学を卒業して企業に入社したが、彼らは学校において(工業学校などを除いて)、特段の職業教育や職業訓練を受けたわけではない。この点は、ドイツなどのデュアルシステムとはまったく異なる点である。もちろん、職種によって職業教育・訓練システムの中身は異なるが、たとえば、工場などの場合、現場に配属された新人たちは、先輩たちの指導のもとに、簡単な仕事からスタートし、いろいろの仕事を実際にこなしながら、腕を磨いていくことになる。こうしたやり方は、職業教育訓練所などで行われる職業教育・訓練(これをOJTと呼ぶ)とは、異なる。OJTは、十〜ニ十年という長い年月をかけて、労働者の技能形成を図っていく制度である。これが機能するためには、年功序列賃金制・終身雇用制の存在が前提となる。経験と訓練を経た労働者ほど優れた技能を持ち、生産性が高いと考えられるから、給料も年配者ほど高くなる。一人前になるのに長い年月がかかるとすれば、職場での技能を獲得するためには、一つの職場で長期にわたって働くことが前提になる。OJTは、何も工場労働者に限らない。ホワイトカラーの世界でも、大学卒業の新卒社員は、先輩社員の指導のもと、さまざまな仕事をこなしながら、一人前の職業人として成長していく。