朝日新聞の国民意識アンケート調査(八月二〇、二一日実施、電話調査)によると、日本の経済構造を変え、不況を克服する過程では、失業の増加は避けて通れない、という政府や経済界での大勢の考え方に対し、国民は違った姿勢を持っている。国民の五一%が「納得できない」と受け止め、「納得できる」の三四%を大きく上回っている。身の回りでリストラによる解雇や出向を経験した人が半分を超えており、リストラが他人事ではなくなってきたことが、失業増への不安や不満につながってきているといえる。
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企業の責任について、利益追求よりも雇用を優先すると考える人が六二%に達し、人減らしに走る企業に批判的な意見が多かった。これは、利己的といわれても、個人の意識としては当然といえる。しかしそのような認識に首をかしげる向きもある。四月中旬に実施した朝日新聞の全国調査で「企業のリストラによる失業が増えても、日本経済の構造改革を急いだ方がいいと思うか」と聞いた際は、「急いだ方がいい」という回答が四一%で、「そうは思わない」という回答を上回っていた。本音とタテマエが質問形式でちがった傾向を生んでいる。八月中旬に行なった今回の調査で、リストラによる解雇、出向を経験した人が、「身近にいる人」は五一%、「いない人」は四七%である。その中で三〇代男性では七五%に達していた。〔朝日新聞一九九九年九月五日付〕次に、失業がこれ以上増えないように、政府がもっと税金を使って対策を打つべきか、それとも企業や個人の努力を基本にして解決していくべきかという質問に対して、「企業や個人」と答えた人が四三%、「政府」と答えた三八%をやや上回わった。これを見ると、政府が打ち出す対策よりも、企業の雇用維持の努力に期待する面の大きいことがうかがえる。日本人の「自己責任」を避ける意識は、この他の多くのケースにも見られることであるが、ややその傾向を正した姿勢といえる。